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イベントレポート
遺品整理の現実と生前整理の勧め
2013年1月のらしさサロン
1月のらしさサロンは、(株)メモリアルスタイルの杉村幸一氏をお招きし、年間800件の遺品整理を行っている実績を踏まえた、心構えや、段取り・費用などのお話を伺いました。
冒頭に、1月21日午後7時からテレビで放送された「孤独死と終活」に焦点をあてた番組の紹介がありました。正月のゴールデンタイムに「死」を取り上げたり、「終活」という言葉が流行語になったりする時代の訪れは、数年前には予想できなかったそうです。
「遺品整理」とは、どのようなことをするのでしょうか。まず「遺品」には、亡くなられた人の①家財品、②貴重品、③食料品がありますが、同社で整理するのは家財品のみで、貴重品と食料品については、事前に片づけてもらうとのことです。 また作業内容として、遺品の「撤去」、「家財のお焚きあげ供養」、「特殊清掃(部屋で亡くなった場合。ご遺体の状況による)」などがあります。同社では、遺品はすべて供養品と考え、住職にお焚き上げをお願いし、報告書をいただいているとのことです。
遺品整理業にとって「遺品」はゴミではなく、「役目を終えたモノに感謝する」ために遺品を供養するという話もありました。 高齢社会の進行と単身世帯の増加(1678万世帯、全世帯の32.1%=平成22年度)という社会背景により、遺品整理の依頼が増え、業者も増加しているそうです。遺族が高齢になっている場合は、自分で行おうとしたら心身ともに疲れてしまうのは目に見えているので、依頼する方が増えているようです。 処分に困る遺品として、①写真、②布団、③本、④コレクション、⑤衣類、の5点が紹介されました。「布団」についてはゴミとして自治体で処分するのなら1組300円くらいで済みますが、お焚き上げをすると7,000円かかるので、金額も考慮して処分方法を考えた方が良いとのアドバイスがありました。
遺品整理の苦労を考えれば、「断捨離」にメリットがあり、元気なうちからとりかかることが大切です。「かたづければ、介護が必要な場合家族の負担軽減になる」、「執着や欲求をなくす。手放すことの訓練をして欲しい」、「年齢を重ねるほど手放せなくなる」「いつか使えそうだから・・・の“いつか”はやってきません」など、耳が痛いお話しでした。 講演後は、参加された方から質問や意見が飛び交い、具体的な費用(四畳半・作業員二人で5万円くらいから)や、遺品整理の時期(四十九日過ぎが多い)などの具体的な説明もいただきました。 また樹木葬や散骨など埋葬の方法についても活発に意見が交わされるなど、皆さんが前向きにエンディングを考えていることが感じられるサロンとなりました。
※断捨離…入ってくる不要なものを断ち、不要なものを捨て、物への執着から離れること/やましたひでこさんの造語