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イベントレポート
【サロン】納棺師というお仕事
3月のら・し・さサロンは「納棺師という仕事」をテーマとし、みやざきLaBO代表で納棺師・遺体コンシェルジュの宮崎敦志様を講師に迎え、また同業の和田様に助手としてお手伝いをいただきました。
私は映画「おくりびと」で初めて納棺師という仕事があることを知りましたが、具体的にどのような役割を担っているのかなどは、映画で観た以上の知識がなく、強い興味を持って受講しました。
講座は2部構成で、前半は講義形式です。
宮崎様が納棺師として独立するまでの経緯から始まり、納棺師の葬儀における位置付け、エンバーミングやエンゼルケアとの違い、遺体の変化に伴う適切なお手当の方法などを詳しく解説していただきました。
その中で、エンゼルケアは看護師が行い、ご遺体が病院を出る時に家族がショックを受けないように施す措置としているのに対し、納棺師は、亡くなってから荼毘に付されるまでご遺体を最小限の変化でお手当てできることを知りました。
宮崎様が死化粧を施した故人のお顔をビフォーアフター式にスクリーンに映しながら、死後のお顔の状態と、メイク後のお顔を比べる場面もありました。
故人の写真ではありましたが、決してグロテスクなものでなく、メイクによって生前の艶のある生き生きとした表情が戻っているのを見て、ご家族もさぞ喜ばれただろうと想像できました。
宮崎様は、納棺師の役割を「死後変化を見極め、体の変化を限りなく遅らせる=お体を守る専門家」と科学的に位置付けていましたが、これこそがご遺族に寄り添い、故人の尊厳を最大限に尊重するという想いから生まれている言葉だと感じました。
併せて納棺師がご葬儀の中でたいへん重要な役割を果たしているということが理解できました。
後半は「体験、納棺式」と銘打ち、会場の中心で本番さながらの納棺式を体験しました。
ら・し・さの理事が見事なご遺体役を演じ、和田様が白装束を着せた後に、参加者が順番に足袋、脚絆、天冠など故人の旅立ちの準備を整えるという形式でしたが、遺族役の迫真の演技もあり、笑いと厳かさを醸し出した興味深い納棺式となりました。
講義後の質疑応答も、参加者からさまざまな質問が続出し若干の時間オーバーをもって無事終了となりました。
宮崎様は朴とつな印象で一語ずつゆっくりと噛みしめるような話し方をされ、それがより説得力を増し、時には感動さえこみ上げてきました。
今後の宮崎様を始めとする納棺師の益々のご活躍を期待するとともに、私たちNPO法人もさまざまな場面でご相談者に寄り添って、有意義なアドバイスができればと思いました。