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イベントレポート
【ら・し・さの終活講座第23回】「成年後見の基本と実務~認知症や知的障がいのある人をどう守るか~」
【ら・し・さの終活講座第23回】
開催日時:2018.2.24(土)
テーマ:「成年後見の基本と実務~認知症や知的障がいのある人をどう守るか~」
第1部 「成年後見のいろは」
第2部 「成年後見のケーススタディ」
2018年最初の終活講座は「成年後見の基本と実務」についてです。第1部の講師は、当協会の理事長で、NPO法人市民後見センターちばの理事長でもある若色信悟さん、第2部の講師は特定社会保険労務士で、一般社団法人年金トータルサポート・コスモ副会長、一般社団法人社労士成年後見センター東京指導監督委員会委員等として活躍中の河内よしいさんです。
「成年後見制度とは判断能力が
不十分な方々の権利を守る制度です」と、成年後見の意義や基本理念の説明から、講座は始まりました。
後見制度ができて18年経っても、後見制度を利用する人が少ない、ということは聞いていましたが、成年後見制度の申立数が過去5年間、ある年は減少もあり、ほぼ横ばい(34,500人前後)ということには驚きでした。平成28年12月末の利用者数は法定後見201,090人、任意後見2,461人とのこと。利用が増えない理由はいろいろありますが、制度への理解が不足していることも一因のようです。認知症患者、軽度認知障害者が急増している今、終活アドバイザーとしてこの制度を知っておくことがとても大切な事だと思いました。
先ずは、法定後見制度の詳しい説明です。法定後見には3類型あること、後見人等になれる人、後見人等の分類(親族後見人、第三者後見人など)、3類型それぞれの特徴、仕事内容、権限の説明の後、3類型では権限(代理権・同意権)の範囲が異なることを図にしてわかりやすく説明していただきました。法定後見を利用しているときによく問題になる居住用不動産を処分する場合(家庭裁判所の許可が必要)や、利益相反行為について具体例を挙げて説明していただきました。また、一番気になる費用についての説明もあり、制度のメリット・デメリットを法定後見制度のまとめとして話されました。
次は任意後見制度についての説明です。任意後見は判断能力がしっかりしているときに契約し、判断能力が衰えたら家庭裁判所で任意後見監督人の選任をもって任意後見契約が発効するのですが、任意後見契約は法定後見制度の補助レベルでも契約ができ、また、補助レベルからお世話になることができることを新たに知りました。
セミナーの締めくくりとして、長生きするリスクに対し、ライフプランに成年後見費用を入れることを提案されました。自分もいつ認知症になるかわからないので、後見への準備をしておかなくてはいけない、ということを感じました。
第2部は、現在、法定後見で後見と保佐を受任されている河内さんから、実務についての話を伺いました。
民法858条に書かれている“成年被後見人の意思の尊重と身上の配慮”が法定後見で最も基本となる理念である、と第1部で学びました。「支援するにあたっては、ひとりひとりの生い立ちも生活環境も違うので、本人の気持ちに寄り添い、ひとりひとりと向き合う、という覚悟で後見業務にあたっています」との河内さんの言葉に、基本理念を大切にされている姿勢を感じました。
先ずは、成年後見人申立時の書類についての説明がありました。申立は本人が住んでいる住所地を管轄する家庭裁判所に提出するのですが、その申立用紙は家庭裁判所によって少し異なること、親族が「後見人等候補者」になる場合には事情説明書にかなり詳しく事情を書く必要があること、医師の診断書の所見によって本人のさらなる鑑定が必要かどうかが判断されること、などを教えていただきました。
その後、お世話している3人のケースの詳しい話があり、後見業務の一端を知ることができました。
まとめとして、平成28年の民法改正によって成年後見人のできる業務が拡大したこと(埋葬や借金の返済など)、そして、今後の改正予定と課題についてお話しいただきました。
「今すぐできることは、元気なうちにエンディングノートを作ること」、と話されて、講義は終わりました。
お二人の講師の話を聞き、自分の問題としてマネープランに後見費用を用意し、『ら・し・さノート』に後見のことを追記しておこうと思いました。