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イベントレポート
【ら・し・さの終活講座第22回】「社会保険と税金を理解する講座 第3回 2018年からの医療と介護のゆくえ」
ら・し・さの終活講座第22回
ら・し・さの終活講座第20~22回は、社会保険と税金を理解する講座として3回シリーズで開催しました。
最終回の第3回目は「2018年からの医療と介護のゆくえ」です。講師は、介護事務管理士の資格も持っているファイナンシャル・プランナーの久保田勉さんです。
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超高齢化が一層進み、医療保険・介護保険の保険料や自己負担の増加は高齢者にとって切実な問題です。今後医療と介護はどうなっていくのか? 終活アドバイザーである私には必見の講座と思い受講しました。
席について机の上にある60ページものレジュメにビックリ、講師の熱意を感じました。
先ずは、2018年の診療報酬・介護報酬の同時改定が、2025年問題(団塊の世代すべてが75歳以上、つまり後期高齢者になることに伴い発生する問題)に対応するため、いかに重要であるかの説明から始まりました。診療報酬・介護報酬改定のベースとなる「地域包括ケアシステム(医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制)」について、歴史から規定・概念・内容・機能強化への取り組みなどを詳しく説明していただきました。
続いて、医療保険・介護保険の報酬改定の内容と今後の改革の予測についてのお話です。医療報酬・介護報酬のしくみや現在のサービス内容、今後の見直し内容、改革の方向性などを、中央社会医療協議会や医療保険部会、介護給付費分科会などの資料を基に、具体的にお話いただきました。資料の出典が詳しく書いているので、後日自分でも調べたいときにもとても助かります。
新たな介護保険施設である“介護医療院”の説明もありました。その時に話された、「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム~特養~)の待機者数が、平成26年の調査では52万人だったのが、平成29年3月には約36万人に減っている」との話に驚きました。東京付近では特養への入所の困難さや特養待ち人数の多さばかり聞こえてきますが、地方では新設の特養が満床になるのに半年や1年かかるケースがあるとのこと。地域による差がそれほど大きいことを知りました。
今の日本の財政状況から考えて、介護や医療の自己負担が今後重くなることは理解していましたが、どの部分がどのように負担増になるのかという詳しいことはよくわかりませんでした。しかし、今日のセミナーを聞いて、医療分野では「かかりつけ医の普及」「薬代の自己負担増」「(収入だけでなく)保有している金融資産等を考慮に入れた負担増」、介護保険分野では「福祉用具の貸与価格の見直し」「訪問介護(生活援助サービス)の利用回数制限」「自己負担割合の見直し」などなど、改正となる理由や進めようとする方向性がわかりました。
最後はワークショップではなく質問タイムになりました。特に、地域包括支援システムを支えていくための、自治体やボランティア組織などによるそれぞれの地域での取り組みに関して意見や質問が飛び交いました。
今回のお話を聞き、介護保険の財政が厳しくなるなか、これからは介護予防や生活支援を専門職に頼るのではなく、自分で自分を守る自助、他人を助け他人に助けられる共助や互助がますます必要になってくるのでは、と感じました。昔ながらの地縁だけではなく、ボランティアやNPO法人などが関わる新しい地縁の形ができるといいな、と思います。