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【“ら・し・さ”の終活講座16回】住まいの終活を考える~住宅資産活用アドバイス~

”ら・し・さ”の終活講座 第16回

報告岡本典子(ら・し・さ正会員)

今回は、長年住宅メーカーで不動産活用を担当されてきたNPO法人ら・し・さ正会員の橋本秋人さんに、「住宅資産活用」「空き家対策」のお話を伺いました。第一線で活躍されていただけあり、たくさんの事例を交えた納得のセミナーでした。

高齢になるにつれ、住み慣れた自宅の維持管理が負担になってきた、修繕費もかさみそう、しかし、子どもたちはこの家には戻らないと言っている。自宅を活用して、老後資金に回せる方法はないだろうか。また、親の家を相続したが空き家になっている。税金が高くなると聞いたが、どうしたらよいだろうか。

今回の終活講座は「そのような悩みはないですか?」という問いかけから始まりました。hashimoto1215

総務省統計局「家計調査報告」(平成27年度)によると、高齢者世帯の家計収支はマイナスです。一方、持ち家率は80%超と高い水準ですが、古くなってきた家の維持管理が困難で、リフォーム・建替えにはお金がかかることから、住宅資産としての活用を考える人が増えてきているそうです。

住宅資産の活用法には、①売却、②更地で利用(駐車場など)、③現状のまま賃貸、④建替えて賃貸、⑤定期借地権、⑥リバースモーゲージなどの方法があります。それぞれの具体的な事例と、メリット・デメリット、対策のポイントを、わかりやすく話してくださいました。

中でも、「一般定期借地権」(契約期間50年以上)を使うことで、自宅の南側にマンションが建ったり、狭小住宅が立ち並んだりして、景観や街並みが変貌するのを防ぐこともできるということは、新たな発見でした。

どの方法を利用するのが最適なのかは、個々の案件ごとに、立地、資金面、家族関係等で異なりますが、いずれにしても、信頼のおける事業者への相談と事前の充分なリサーチが大切だと改めて実感しました。

最後は、今ホットな「空き家問題」です。日本には現在820万戸の空き家があり、空き家率は13.5%。2033年には30%を超えるだろうと言われています。空き家増加の原因は、①少子化、都市への人口集中という日本の現状、②日本人は新築好きで、空き家が増える一方で毎年90万戸ずつ新築されていることなどがあります。さらに、中古住宅の価値が低く流通市場が発達せず、解体にも消極的という日本人の特性も根底にあると指摘されました。

空き家が増えると街はゴーストタウン化します。商店・学校・各種施設が減少し、インフラ整備・維持費がかさむため、さらに人口流出が進むという負のスパイラルに陥るのです。国は「空き家など対策の推進に関する特別措置法」や「空き家に係る譲渡所得の特別控除」を制定するというアメとムチの対策を講じています。しかし、これだけでなく、各人が空き家にしないための事前の対策が必要!と橋本さんは強調していました。

その対策の一番手が「住宅資産活用」です。専門家の力を借り、早めに適切な対策を講じていくことが大切。エンディングノートも活用していきましょう!と締めていました。

空き家対策は、FPが活躍できる場でもあります。私たちNPO法人ら・し・さ会員も、終活相談と絡めて、何らかの形でご相談者のお役に立ちたいと思います。

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