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イベントレポート
【サロン】 認知症介護体験から学んだエンディングノートの必要性
5月 らしさサロン 2016.5.27開催
徘徊による鉄道事故や逆走運転による自動車事故など、痛ましいニュースが目につくようになりました。当事者の多くは認知症の疑いのある65歳以上の高齢者と言われます。
厚生労働省によると、いま、高齢者のうち認知症の人は約500万人。2025年には約700万人へ。加えて、単身や高齢者だけで暮らす世帯も増えています。
老老介護、遠隔地介護、おひとりさま介護……、そんな言葉がうまれるほど、いま、認知症高齢者の介護は深刻さを増しています。
介護が必要な高齢者を、家族や介護者がどのように見守り、支えていけばよいのでしょうか。“その解決の一助となるのがエンディングノート(ら・し・さノート)”というのが今回のテーマです。
講師は、らしさ正会員の久保克裕さん。自らの介護体験に基づいた、『ら・し・さノート』の実践的な活用法についてのお話しでした、
「認知症は早いうちから予防や治療で改善をはかるべき、まずは早期発見から」。現在、80歳代のご親族、ふたりの介護をしている久保さんは、認知症対策では早期発見を第一に挙げました。「お風呂に入りたがらない」「着替えが面倒になる」「片付けができない」「嗅覚が弱まる」「あの~、その~をよく口にする」「過食」「お金の計算ができない。買い物でいつも1万円札を出す」。80歳を過ぎた高齢の家族と暮らしていると、どれもが思い当たるものです。
一口に認知症といっても、種類や人によって症状の進行のしかたはさまざま。認知症のうち6割の人がかかり女性に多いアルツハイマー型は、症状が進むにつれてどんどん重くなっていきます。一方、男性に多いのが脳血管性認知症とレビー小体型認知症。脳血管性は階段状、レビー小体はまだら症状で進行するため、周りの人が認知症に気づきにくいという特徴があるそうです。これら認知症についての基礎知識を知ることで、早期発見し、予防やトレーニングを行うというのが大切なポイントとなると学ぶことができました。
ら・し・さノートは、どのように介護に役立てることができるのか。例えば、ライフプランのページに子どもの頃や30~40歳代の頃の話を聞いて書きとめることで記憶力の維持を図ったり、医療・介護のページに介護サービス、病歴・入院歴、持病・アレルギーなどの情報を記しておき治療に役立てたり、貯蓄のページに金融機関口座に関する情報をまとめて記しておくなど、必要な情報の管理に力を発揮することが確認できました。
「認知症の人が形成している世界を理解すること。現実とのギャップがあることを理解してあげることが介護者としてもっとも大切な心得」と久保さん。認知症高齢者の症状は、経済力は、それに応じた医療や施設をどう選択していくか……。さらには後見契約や相続対策と、解決すべき課題は少なくありません。そのためにも、まずは1人一冊、元気なときから、ら・し・さノートを書いておくこと。今回のサロンで改めて、ら・し・さノートの必要性を再確認できました。(了)