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イベントレポート

終活アドバイザー協会設立5周年記念講演会 第2部 「今どきのお墓事情」 ~海洋葬・永代供養墓・納骨堂・埋蔵施設~

報告鹿野 佐代子

NPO法人ら・し・さでは、「らしさサロン」として終活に関するさまざまな体験会や見学会を企画しています。らしさサロンの企画を担当しているら・し・さ理事の三谷ますみ氏より過去のサロンの活動を振り返りながら最近のお墓事情について話して頂きましたので報告いたします。

超高齢社会と世帯の変化から
国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によると、家族類型別世帯数が2010年には親子世帯から単独世帯へと入れ替わり、その後単独世帯は増え続け2040年には65歳以上の高齢者単独世帯の割合が4割を超えるという予測になっています。
日本は社会的インフラ(健康保険や年金制度)が整っているので、元気な高齢者が増えているのは素晴らしいことです。ですが、高齢のおひとり様が増えていることで、自分が亡くなっても見送る人がおらず、墓守や後継ぎがいないという問題が起こっています。

お葬式、埋葬・供養、お墓はどうなるのか
家族も参列者も亡くなる人と同じように高齢化するため、葬儀に行けない事情が生まれ一般葬の参列者が激減してしまったようです。また、家族にも負担がかかるため、ここ数年で家族葬が増えています。さらに、最近ではお通夜を飛ばして1日葬や直葬などが増えています。それは、公正取引委員会の葬儀取引に関する実態調査2017年の数字にも示され、家族葬は50%、直葬は25%伸びています。昔のような一般葬を行う時代から、こじんまりとした葬儀に考えが変化していることがわかります。

埋葬・供養についても、永代供養対応のお墓や納骨堂が増え、お墓がいらない、自然葬(樹木葬や海洋葬、宇宙葬)を選ばれる方も増えているため、らしさサロンで企画したさまざまな体験会のスライドを見せて頂きました。

2017年に海洋葬体験クルーズに行ってきた様子(写真)

A 献花用の生花
B 散骨の袋(水に溶ける紙袋に粉骨が入ってる)
C 手元供養の品など

船室には今日の式次第や談話室があります。献花や散骨、黙祷の体験ができるのですが、散骨が終わると汽笛がなり黙祷します。参加された皆さんは体験と理解しながらも、神聖な気持ちになったと報告されていました。
参加者の中には船酔いされた方がいたようで、船に弱い方がいらっしゃるなら考えたほうが良いという意見もあったようです。

海洋葬に関して終活アドバイザーとして知っておいた方が良いことは、「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)」です。
・昭和23年(1948年)に制定されたお墓や埋葬方法を定めた法律で、1.(1)『埋葬または焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に行ってはならない』とされ、墓地以外の場所へのお骨の埋葬は禁止されています。

では、海にまく散骨は?どうかというと、日本では、これまで海にお骨を撒くということは考えられていなかったので埋葬でない「散骨」は法律のグレーソーンのようです。1991年に節度を持って行われる以外、遺骨遺棄罪に該当しないということで様子を見ている状態だそうです。一般社団法人日本海洋散骨協会「海洋散骨協会ガイドライン」が非公式ではありますが出されているそうです。

他にも、散骨をするときは法による手続きはいらないが、地元の自治体に確認が必要で、Aの場所では全く問題にならなくてもBではご法度になることがあるそうです。

今どきのお墓
お墓は遺族の埋蔵場所であり、先祖供養、故人をしのぶ場所であります。これまでは、先祖代々受け継がれてきた墓に参り、娘が結婚したことや、入院したけど退院したことなど、故人をしのびながら自分を見つめなおす場所になっていました。ですが、最近は墓守をする跡継ぎがいらない墓として、一般的になってきたのが、永代供養墓、立体埋蔵施設、合祀墓、共同埋葬墓、納骨堂、樹木葬などです。墓を持ちたくないという人に自然葬(海洋散骨、宇宙葬)があります。ここ最近ではペットと一緒に入れる墓もあるそうです。いろいろな形態の墓を知るため都営谷中霊園見学会や小平霊園の視察の様子をビデオ視聴いたしました。

谷中霊園見学会 (ビデオの視聴)
見学はツアーガイド付きで回られていました。谷中霊園は、徳川慶喜氏の墓(慶喜氏がデザイン)や、著名人の墓、谷中霊園には変わった墓があり、聖ニコライハリストス正教会大主教の墓、沖縄風の墓などがありました。立体埋蔵施設は墓のマンションというイメージでした。遺骨を埋葬するまでの流れを詳しく教えて頂きました。

小平霊園 樹林・樹木墓地の視察
樹林墓地、樹木墓地は一見してどちらも同じように見えます。何が違うかというと、樹林葬は遺骨を骨壺から出して納骨袋にいれて合葬されるようです。樹木葬の場合は樹木の付近に埋めてくれます。1本の木で複数人分埋葬されます。どちらも埋蔵場所の指定はできないようです。最初に1回支払えば管理料は不要だそうです。樹林墓地はもう満杯になったため受付はしていないそうです。他にも都市型納骨堂なども視察されています。

納棺師というお仕事
宮崎さんのお話 死んだ人がどのように変化していくのかを知っているプロとして、死体の状態に応じて、顔をの覗いたときに嫌な気持ちにならないよう化粧を施していらっしゃいます。死に装束の体験や死に水を取る体験をされていました。

段ボール棺に入る体験
環境にやさしい棺 燃やしたときに出るCO2は削減できるそうです。時々、マスコミで取り上げられています。参加された皆さんで、わいわい言いながら楽しそうに見学されていました。

実際に行ってみて知ることは多いので、サロンが開催されたらぜひご参加いただきたいのですが、まずは、らしさノートのお墓のページを覗いてみて、ご自身はどのようなスタイルで行うのか考える機会にして頂きたいと思いました。

以上

 

 

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